絶叫、そして契り/『ヒート・フルーツ』第1部終盤エピソード特別編集版❣
その9
麻衣
「…わかった。津波とドッグスも南玉として復帰可となれば、私はいい。なら、お前の覚悟の程を試させてもらう」
「…はい」
これで取引完了だ
あとは私がけじめをつけるのみとなる…
...
「おい、準備しろ」
後見の先輩がそう指示を出すと、みんな一斉に何やら準備にかかった
荒子さんは松葉つえを置き、両脇の二人に肩を借りて、私の正面まで歩み寄ってきた
二人のその間、わずか1Mちょっとだ
そして狂犬が口を開いた
「…この際、私の正直な気持ちを言っとくぞ、本郷」
「はい…」
「お前の手並み、度胸、全体を見通す感性と眼力、すべて称賛に値するよ。それは認めてる。…続きは互いに”全快”したら聞いてもらう」
この人、おけい並みにフェだよ
私は益々、あなたを眩しい存在として生きていくでしょう
...
「…では本郷、私は左足のひざ下だったが、”どこ”行くか…」
「お好きな骨、ご随意にどうぞ…」
ここまで来れば、もうどうにでもなれだし‥
「よく言った。じゃあ、左手をだしな」
狂犬さんが指定した骨は左手だった
正直、意外だったよ
私は右手で左腕を上から下まで2往復撫でてから、手のひらを上にして、総長に差し出した
そして大きく深呼吸してね…
それでも心臓はバクバクで、飛び出しそうだ
恐いや、やっぱり…
...
「…では、今回は左手小指をもらう。いいな?」
「ええ…。でも、指でいいんですか?私は足の指ではなくて足の骨ですよ。ならば、腕なら指じゃなくて肘とか…」
「お前に奪われたのは一本の骨だ。痛みは折れ方や個人差で一様ではないだろうし、指の骨でも一本は一本だろ」
「総長…」
この状況で私、感動してるわ
なんてでっかい器量の持ち主なんだよ、この人は
この際、その温情には甘えさせてもらおう
ふう‥、この勢いで一気に終わりにしちゃえ…
「さあ、行っちゃってください!」
私は歯を食いしばって、狂犬の目にじっと視線を合わせた
「よし…。では、行くぜ!…うぉーー!!」
ボキッ…!!
ぎゃああーー!!
...
私の中で時間が消えた
激痛は一瞬という永遠の時間のもと、大波小波で全身を駈け廻っていた
ガラガラガラ…
視線の向こうは西陽が戻ったか…
だが、眩しさを実感する間も痛みに支配されている
痛い、痛いよ…!
私の周りで何人も慌ただしく何やら作業してるや
気が付くと、左の小指には板材が当てられ、その上を包帯がぐるぐる巻かれていく…
「…五條先輩!外の車には伝えました。乗っかればすぐ出られますよ!」
「よし…、さあ、運び出せ!急ぐんだ!」
「いいかー、校舎側から見えないように、人を配置しとけよ!」
私は大きな体の男の人におぶられ、搬出されるようだ
なんとか終わった…
これでおうちに帰れる…
麻衣
「…わかった。津波とドッグスも南玉として復帰可となれば、私はいい。なら、お前の覚悟の程を試させてもらう」
「…はい」
これで取引完了だ
あとは私がけじめをつけるのみとなる…
...
「おい、準備しろ」
後見の先輩がそう指示を出すと、みんな一斉に何やら準備にかかった
荒子さんは松葉つえを置き、両脇の二人に肩を借りて、私の正面まで歩み寄ってきた
二人のその間、わずか1Mちょっとだ
そして狂犬が口を開いた
「…この際、私の正直な気持ちを言っとくぞ、本郷」
「はい…」
「お前の手並み、度胸、全体を見通す感性と眼力、すべて称賛に値するよ。それは認めてる。…続きは互いに”全快”したら聞いてもらう」
この人、おけい並みにフェだよ
私は益々、あなたを眩しい存在として生きていくでしょう
...
「…では本郷、私は左足のひざ下だったが、”どこ”行くか…」
「お好きな骨、ご随意にどうぞ…」
ここまで来れば、もうどうにでもなれだし‥
「よく言った。じゃあ、左手をだしな」
狂犬さんが指定した骨は左手だった
正直、意外だったよ
私は右手で左腕を上から下まで2往復撫でてから、手のひらを上にして、総長に差し出した
そして大きく深呼吸してね…
それでも心臓はバクバクで、飛び出しそうだ
恐いや、やっぱり…
...
「…では、今回は左手小指をもらう。いいな?」
「ええ…。でも、指でいいんですか?私は足の指ではなくて足の骨ですよ。ならば、腕なら指じゃなくて肘とか…」
「お前に奪われたのは一本の骨だ。痛みは折れ方や個人差で一様ではないだろうし、指の骨でも一本は一本だろ」
「総長…」
この状況で私、感動してるわ
なんてでっかい器量の持ち主なんだよ、この人は
この際、その温情には甘えさせてもらおう
ふう‥、この勢いで一気に終わりにしちゃえ…
「さあ、行っちゃってください!」
私は歯を食いしばって、狂犬の目にじっと視線を合わせた
「よし…。では、行くぜ!…うぉーー!!」
ボキッ…!!
ぎゃああーー!!
...
私の中で時間が消えた
激痛は一瞬という永遠の時間のもと、大波小波で全身を駈け廻っていた
ガラガラガラ…
視線の向こうは西陽が戻ったか…
だが、眩しさを実感する間も痛みに支配されている
痛い、痛いよ…!
私の周りで何人も慌ただしく何やら作業してるや
気が付くと、左の小指には板材が当てられ、その上を包帯がぐるぐる巻かれていく…
「…五條先輩!外の車には伝えました。乗っかればすぐ出られますよ!」
「よし…、さあ、運び出せ!急ぐんだ!」
「いいかー、校舎側から見えないように、人を配置しとけよ!」
私は大きな体の男の人におぶられ、搬出されるようだ
なんとか終わった…
これでおうちに帰れる…