絶叫、そして契り/『ヒート・フルーツ』第1部終盤エピソード特別編集版❣

次なる視界

その1
麻衣



4人は長椅子二つに分かれて座り、真樹子さんと祥子が後ろのアンコウと私を向いた格好で”会議”を始めた

まずは私から、西咲学院での荒子さんとの決着について、ひと通り報告をしたわ

さすがに言葉だけでも生々しい情景が頭に浮かぶようで、真樹子さんと祥子は眉間にしわを寄せて聞いていたよ

で…、アンコウだけは特段、フツーと変わりない顔つきだったわ(苦笑)


...


「…じゃあ、合田はあなたと祥子、それにドッグス復帰は南玉全体の了承を受ければOKと公言したのね?」

「ええ、割とあっさりとでしたね。まあ、予測はついていたと思うし、その場にいた本田も私の申し出にさほど驚いた様子はうかがえなかったな」

「となれば、問題は南玉内ってことになるな」

「祥子、狂犬はその際、南玉幹部会とは言わず、新しい南玉連合の”意思決定”という言い回しだったよ。…三田村さん、この辺りどうですかね?」

「はっきりは分からないけど、少なくとも、従来の幹部会に諮って決定するプロセスとはかなり意味合いが違って来るんでしょ。OB・OGの了解も経なくていい訳だし、言ってみりゃ、今は暫定的な組織系統になるだろうから、かえって通しやすいんじゃない?」

おお…、アンコウ、何とも明快な見解だわ


...


「そうね。それにさ、すでに合田は横田と今後の南玉連合を再生させるプランを意見交換してるようだし、その横田が麻衣さんには闘志満々なの
も承知してるでしょ。その上で今日の了解なら、あのカモシカも麻衣さんと南玉内でやり合うことを望んでるからじゃないかしら。それならね…。本田辺りを使って誘導するかもね」

真樹子さんの意見は一理ある

ただ、私としては他人任せで傍観してる気はない

「まあ、こっちは三田村さんにも”誘導”してもらって、なんとしても”出戻り”の却下は阻止したいわ。…とは言え、これは私のわがままだから、みんなにあまり無理は言えないんだけどね…(苦笑)」

はは…、一同も苦笑だわ




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