絶叫、そして契り/『ヒート・フルーツ』第1部終盤エピソード特別編集版❣
その4
麻衣
「静美、バット、落ちたぞ。…拾えよ。そんで、総長の左足を折って差し上げろ!」
「…で、できません!そんなこと、私にはできませんよー!!」
バシーン!
今度は蹴り倒してやったよ
「全く…、どいつもこいつも大したフヌケっぷり晒しやがって!…いいか、久美も静美も絶対目をそらすな。…おい、そこの5人、総長をお支えしろ!」
「本郷ー!!テメー、テメー!!」
「総長、では失礼します…。行くぞー!!おらー!!」
ガツーン!!
私はあらん限りの力を以って、金属バットを打ち込んだ
「ぎゃあああーー!!」
手ごたえはあった
...
金属バットは荒子総長の左足ひざ下を痛打した
非情な一振りで、コトは完了したようだ…
私のやった行為は、当然、大それたコトだ
だがこの時点では、不思議なくらい落ち着いていたんだ…
私は即、後の処置にかかったよ
...
「おい、お前、外の勝田さん呼んで来い!そこのお前はテーピング用意しとけ!それからお前、総長の口にタオルをお入れしろ!あと、お前…、総長の汗だ。お拭きして差し上げろ!」
私はその場のメンバーへ、瞬時に指示を連発した
ただし、その中に久美と静美は入っていなかった
無論、意識的にだが…
...
勝田さんはすぐにすっ飛んで中に入ってきてくれた
「麻衣さん、これを当てるぞ!」
勝田さんは手にした板材を手際よく、荒子総長の左足のいわゆる弁慶の泣き所にあてがい、テーピングをぐるぐる巻きにして固定した
その間、口にタオルを思いっきり噛んで激痛に耐える荒子さんの額からは脂汗が溢れ、血走った目は私の顔一点に刺さったまま微動だにしなかった
合田荒子か…
やはりホンモノだよ、この人…
...
「おい、総長の縄をほどいて差し上げろ!急げって!」
「よし、車に運ぶぞ…」
勝田さんは慎重な手つきで荒子さんを毛布に包むと、連れてきたの若い人と二人で外に止めてあるワゴン車に搬出した
「おい、お前来い!」
私は5人のうちの一人を指名して、車まで走った
既にエンジンのかかっているワゴン車の後部ドアから、荒子さんはすんなり車内に収まった
「お前も同行しろ」
私は、真樹子さんから預かった予備部隊のそいつに同行を命じた
「…はい!」
「勝田さん、コイツ一人つけますんで」
「了解だ。じゃあ、このまま大黒病院に直行しますよ。随時、状況はヒールズと総本部に入れますから…」
「お願いします!」
勝田さんと連れの運転手はワゴン車に乗ると、相和会御用達の大黒病院へと急行してくれた
...
廃倉庫の外で荒子さんを乗せた車が出るのを見届けると、急に動悸が激しくなった
一気に自分のやった行為の重大さ…、その実感が湧いてきたんだ
さすがに、私の心の主も平常心を失っていたようだし
総長…
近くまたお会いしますので、そん時はよろしくです
私はそう心の中で呟いた後、大きく深呼吸をしてから、倉庫内に戻った
...
「おい、お前らはこれから火の玉に行くんだぞ!グズグズするな!」
倉庫内の床に座りこんで、呆然としたままの久美と静美に、私は容赦なかった
しばらくすると、二人はほぼ同時にゆっくりと腰を上げた
それは俯き加減で、ややふらつきながらだったよ
言うまでもなく、二人の受けたショックは大きいだろう
まあ、祥子に言われるまでもないさ
悪趣味だよ、実際…
麻衣
「静美、バット、落ちたぞ。…拾えよ。そんで、総長の左足を折って差し上げろ!」
「…で、できません!そんなこと、私にはできませんよー!!」
バシーン!
今度は蹴り倒してやったよ
「全く…、どいつもこいつも大したフヌケっぷり晒しやがって!…いいか、久美も静美も絶対目をそらすな。…おい、そこの5人、総長をお支えしろ!」
「本郷ー!!テメー、テメー!!」
「総長、では失礼します…。行くぞー!!おらー!!」
ガツーン!!
私はあらん限りの力を以って、金属バットを打ち込んだ
「ぎゃあああーー!!」
手ごたえはあった
...
金属バットは荒子総長の左足ひざ下を痛打した
非情な一振りで、コトは完了したようだ…
私のやった行為は、当然、大それたコトだ
だがこの時点では、不思議なくらい落ち着いていたんだ…
私は即、後の処置にかかったよ
...
「おい、お前、外の勝田さん呼んで来い!そこのお前はテーピング用意しとけ!それからお前、総長の口にタオルをお入れしろ!あと、お前…、総長の汗だ。お拭きして差し上げろ!」
私はその場のメンバーへ、瞬時に指示を連発した
ただし、その中に久美と静美は入っていなかった
無論、意識的にだが…
...
勝田さんはすぐにすっ飛んで中に入ってきてくれた
「麻衣さん、これを当てるぞ!」
勝田さんは手にした板材を手際よく、荒子総長の左足のいわゆる弁慶の泣き所にあてがい、テーピングをぐるぐる巻きにして固定した
その間、口にタオルを思いっきり噛んで激痛に耐える荒子さんの額からは脂汗が溢れ、血走った目は私の顔一点に刺さったまま微動だにしなかった
合田荒子か…
やはりホンモノだよ、この人…
...
「おい、総長の縄をほどいて差し上げろ!急げって!」
「よし、車に運ぶぞ…」
勝田さんは慎重な手つきで荒子さんを毛布に包むと、連れてきたの若い人と二人で外に止めてあるワゴン車に搬出した
「おい、お前来い!」
私は5人のうちの一人を指名して、車まで走った
既にエンジンのかかっているワゴン車の後部ドアから、荒子さんはすんなり車内に収まった
「お前も同行しろ」
私は、真樹子さんから預かった予備部隊のそいつに同行を命じた
「…はい!」
「勝田さん、コイツ一人つけますんで」
「了解だ。じゃあ、このまま大黒病院に直行しますよ。随時、状況はヒールズと総本部に入れますから…」
「お願いします!」
勝田さんと連れの運転手はワゴン車に乗ると、相和会御用達の大黒病院へと急行してくれた
...
廃倉庫の外で荒子さんを乗せた車が出るのを見届けると、急に動悸が激しくなった
一気に自分のやった行為の重大さ…、その実感が湧いてきたんだ
さすがに、私の心の主も平常心を失っていたようだし
総長…
近くまたお会いしますので、そん時はよろしくです
私はそう心の中で呟いた後、大きく深呼吸をしてから、倉庫内に戻った
...
「おい、お前らはこれから火の玉に行くんだぞ!グズグズするな!」
倉庫内の床に座りこんで、呆然としたままの久美と静美に、私は容赦なかった
しばらくすると、二人はほぼ同時にゆっくりと腰を上げた
それは俯き加減で、ややふらつきながらだったよ
言うまでもなく、二人の受けたショックは大きいだろう
まあ、祥子に言われるまでもないさ
悪趣味だよ、実際…