ソルティキャップ

土曜日。一応、散髪はしておいたけど、やはり少しもやっとしていた。
怪我をしてからそんなに長い期間は経っていないものの、大会前の怪我だったから罪悪感は大きい。
どんな顔をしていればいいか。どんな言葉をかければいいか。俺には分からなかった。
気付けば俺が事故に遭った交差点。
今日も、あの日と同じように車が勢いよく走っていった。
交差点を渡り、スーパーを横目に歩いていくと、学校に着いた。
「やっほー！陽介！」
校門からひょこっと飛び出してきた鮫島が、軽く手を振った。
「お、おう、久しぶり」
俺は戸惑いながらも、左手を軽く挙げた。
「相変わらずクールだなぁ。けど、お前は来てくれるって信じてた。ほら、皆待ってるから早く行くぞ。」
俺は鮫島に肩を抱かれ、導かれるままに歩いて行った。
部室の前まで来ると、鮫島が閉じられたドアに向かって叫んだ。
「おーい！陽介が来たぞー！準備出来たかー！！」
準備が出来たようで、鮫島がドアをガラッと開けた。