ソルティキャップ
「もう、全く。すいません、態度悪くて。」
彼女は深くため息をついていた。
「あ、いえ…そりゃあ怒られますよね。」
彼女はきっと、俺らが元バッテリーで、喧嘩したっきり連絡も取っていないということを知らないのだろう。
「まあ、お兄ちゃんのことは置いといて、さっきの続きに戻りましょうか。」
彼女は手をパチンと鳴らすと、明るい声で言った。
「さっきの続き、ですか?」
「忘れたんですか?何でもしますって言ったじゃないですか。だから、何でもしてもらおうと思って。」
食い気味な彼女に、俺は困惑するしかなかった。
「う〜ん何してもらおうかなぁ」 
ただひたすらに困惑する俺の横で、彼女は楽しそうに考えていた。
「じゃあ、まず、質問に答えてください。」
「し、質問、?」
俺は突拍子も無いお願いに声が裏返った。
「そうです、質問。クエスチョンです。えっと…じゃあ…彼女、いますか?」
「は、はい?」
これまたとんでもない質問に、俺は目を丸くした。それでも彼女は平然としていた。
「え、彼女いるんですか?図星??」
「あ、いや、いません。」
彼女は楽しそうに頷いた。
「じゃあ、好きな人は?」
「いないです…」
俺がそう答えると、彼女は満足そうに俺を見た。
「じゃあ、私からのお願いです。」
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