ソルティキャップ
「私が死ぬまで、私の彼氏になってください。」
「へ?」
的外れすぎる彼女のお願いに、俺は素っ頓狂な声が出た。
「あ、私が死ぬまでっていうのは、渡しが早死しても長生きしてもってことですよ?」
彼女は人差し指を立てて、念を押すように言った。
「あ、あの、いや、そこじゃなくて…か、彼氏?俺が…?」
俺はどうしても、彼女の言うことの意味がわからなかった。
「ほら、偽りの恋ってやつですよ。よく恋愛漫画とかにあるじゃないですか。」
彼女がにこっと笑ってそう言ったが、俺にはさっぱりわからなかった。
「何でもするって言ったの、ソッチですからね?異論は認めませんよ?」
困惑している俺を置き去りにして、彼女は終始楽しそうだった。
「何をそんなに戸惑っているんですか!答えは、『はい』か『イェス』しかありませんよ?」
「あ、えっと、、じゃあ、はい、で…」
彼女に圧倒されて、俺は彼女のお願いを受け入れてしまった。
「じゃ、よろしくお願いしますね!」
彼女は楽しそうに下手なウインクをしたが、俺の困惑は解けなかった。

とりあえず、俺には、まだ名前も知らない彼女が出来た。
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