春風、漫ろに舞う
正直、まだ戸惑いがある。
これで良かったのかな。
極道なんて、関わったら…。
もう一生表の世界じゃ生きていけないんじゃないかな、とか。


藤雅と一緒にいられる気持ちは嬉しいけれど、まだ両親にも伝えられていないから。



ーー「失礼致します。
お食事の準備が整いましたので。
皆様方、大広間へお集まり下さい。」



1人でそんなことを考えていたら。
聞こえてきた声に、一気に現実に引き戻される感じがする。


お食事…?大広間…?
これはわたしにも関係あるの…?



「まずは本家にいる組員に、お前のことを紹介する。
それから…親父、通達は回してくれるんだろうな?」


「おう。勿論だ。」



そんな話をしながら、藤雅に着いていくと。
まるで旅館の宴会場のようなところから、美味しそうな香りがしてきた。



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