春風、漫ろに舞う
「…すごい…。」



大広間に入ると、その人の多さにビックリした。
さっきの玄関にいた男の人たち以上に、ここの大広間に集まっている人が多い。

あれで全員じゃ無かったんだ…。
てっきり、あそこに全員集合してるのかと思ってた。


それよりも、凄いのはその遥か上を上回るお料理の数。
テーブルいっぱいに並べられたお料理は、和洋中どれも揃っていた。


まさか大広間ってここ…?
上座の方に行く藤雅のご両親。
藤雅たちが来た途端、ザワザワしていたのが一気に静かになった。
その近くに立っている藤雅の隣に、わたしも倣うように並んだ。



「お前ら!宴会の前に紹介する!!
一条組若頭の女、彩瀬 芽来さんだ。」


「彩瀬 芽来です。
よろしくお願いします。」



藤雅のお父さんがそう言うので。
わたしも慌てて、そう言って頭を下げた。

本当はこんな沢山の強面の人たちの前で挨拶なんて、死ぬかと思うくらい怖かったし緊張もめちゃくちゃしたけど。
第一印象は大事だし、藤雅の彼女として紹介してもらうわけだからビビってたらいけない気がして。
出せる限り、声を張って挨拶した。



「いいか!!
例え命が失われようとも、守り抜けよ!!」



「「「はい!!!!」」」



返ってきた声の迫力と雄々しさに。
またびっくりした。





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