春風、漫ろに舞う
「藤雅!来い!」


「あー…はいはい。
芽来、ちょっと待ってろ。」


「ん…?」



宴会も中盤に差し掛かったところ。
上座にいる藤雅のお父さんから、お呼び出しがかかった。
わたしの頬にキスをして、上座の方へ行く藤雅。
十葵と蒼樹さん、それから何人かの人たちもお呼び出しを食らっていた。


なに…?
今から何が始まるの…?


わたしがそう思っている間に、組員さんたちがどんどんお酒を運んでくる。
色々な野次も飛び始めた。



「十葵!今回は負けんなよ!!」


「今回も若が1番か!?」


「組長!!自分の息子に負けないでくださいよ!!」


「今回も始まったわあ。」



ご飯を食べる手を止めて、じっと藤雅達の方を見ていたわたしに。
そう言いながら、隣に座ったのは藤雅のお母さんだった。



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