春風、漫ろに舞う
「そうだ、芽来ちゃんも。
応援してあげたら?
藤雅喜ぶわよきっと。」


「いえ、わたしは…。」


「そう?
…まだ、緊張しているわよね。」


「あはは…。」


「緊張しなくていいのよ、本当に。
ほら、私の事も千歳って呼んで。
男しか居ないんだから、数少ない女の子同士仲良くしましょ?」



ねっ、と笑ってくれるけど。
本当にそれでいいのかな。
わたしなんかが、仲良くしていい人なの?
極道の奥さんだよ?
姐さんなんて呼ばれたりもしているのを、さっきからちらほら聞こえてきていたし。


それに…あんまり、情が入りすぎると。
切る時に切りにくくなるんじゃないかな。
まだ、決断はしきれていないけど。



「…お気遣いありがとうございます。」



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