春風、漫ろに舞う
「それは、一条だけじゃない。
傘下の組だって同じなんだよ。」


「……。」


「君はあの日、一条組に挨拶に来た。
本来ならばその数日後に、同盟の組や傘下の組にだって挨拶をするはずだった。」


「……はい。」


「そうなった時、君の命は君だけのものじゃなくなる。
君になにかあった時、いったい何百人の人間が命を懸けて守るか分かる?」


「……。」



怒られてるの、わたし?
逃げたことを怒られてるの?


逃げたのは確かにわたしが悪いけれど。
また関わってきたのは、そっちじゃない。
どうして、わたしが説教されなきゃいけないの?


どうして、わたしを振り回すの?
わたしが…どんな気持ちで、藤雅のことを忘れようとしたと思ってるの?
自業自得だからと、割り切ろうとしてるのに。



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