春風、漫ろに舞う
「ん…?」


「あ、起きた?」


「あれ、わたし…。」



気がつくと、見知らぬ天井。
それと消毒液のツンっとした香りが、鼻を掠めた。


あれ、ここどこ…?
病院っぽいけど…着いたのかな?
もしかして、わたし寝てた?



「車で寝ちゃってたから、そのまま連れてきた。」


「あ、藤雅は…?」


「さっき検査終わったところ。
若あのまま爆睡してて、検査中1回も起きなかったんだよ〜。」


「そうなんだ…。」



そばにいてくれた十葵とそんな話を交わす。


あの後だから…気まずいな。
どうしよう、藤雅の様子を見に行きたいんだけど…。



「若の部屋は隣だよ。
芽来ちゃんならいつでも入って良いって。」


「あ、じゃあ…ちょっと見てくる…。」



そう言って、ベッドから立ち上がる。
藤雅の病室へ行こうとすると、十葵から声をかけられた。



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