春風、漫ろに舞う
「〜〜…」



なんだか話し声が聞こえてくる。
この声は…藤雅…?


ぽんぽん、と頭になにか温もりを感じる。
なんだろう…。
気持ちいい…。



「起きたか?」


「あ…!わたし、寝ちゃって…!」



ハッと気づいて起き上がる。


いやだ、わたし…。
藤雅の上で寝ちゃってたんだ…。
だめだ、恥ずかしい。
なにより、病人の上で寝るなんて最低だ。



「も、もう身体は大丈夫なの…?」


「ああ。もう何ともない。」



そう微笑んでくれる藤雅は、既に身体を起こしていて。
十葵や蒼樹さんと何やら色々お話していたようだった。



「…あの、藤雅…。
あの日一方的に逃げ出してごめんなさい…。」


「……俺とは、やっていけないと思ったのか?」


「…違う。
自信がなかった、わたしで良いのかとか…。
色々考えてたら分からなくなって、それなら…最初から知り合う前から戻ったらいいって思って…。」



ぽつり、ぽつりと。
偽らずに思っていたことを打ち明けようと思う。
わたしが、思ってたことを。



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