春風、漫ろに舞う
「ね、そんなに心配しなくても大丈夫でしょ。」


「ったく…。
俺の芽来に気安く話しかけてんじゃねえぞ。」


「はいはい。
…十葵も蒼樹さんも、ありがとうございます。
わざわざ来てくれて。」



「芽来ちゃんに何かあったら困るからね。」


「何事も無くて良かったです。
花火、そろそろ始まりますよ。」



不貞腐れている藤雅を宥めつつ、席に戻る。

蒼樹さんが言った通り、すぐに場内アナウンスが流れて、花火が始まった。



「わあ…すごい…。」


「芽来。おいで。」


「あっ…。」



藤雅の隣で手を繋いで見ていたら。
藤雅は、わたしを持ち上げて膝の上に乗せてくれた。


なんか恥ずかしいな。
沢山汗かいたし、汗臭くないかな。
大丈夫かな…。


そんなことを気にしていたけれど。
次々に上がる、色とりどりの花火にわたしは目を奪われていた。




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