春風、漫ろに舞う
「やっぱり。
…柊、待ったかな。」


「いや、僕も今来たところだから。
行こうか。」



わたしの予想通り、柊は先に来ていた。
背中にはベースを背負っているから、どこかのバンドの代理で行った帰りかな。


今日、柊の集まったのはいつも通りの2人で打ち合わせする為。
いつもは柊のおじいさんが経営してるカフェで話し合うんだけど、この時間だともうバーの方になってるみたいで未成年のわたしたちじゃ入れない。



「巡、何食べる?」


「わたしはこのパスタにするよ。」


「分かった。」



柊が店員さんを呼んで注文をしてくれる間、何気なく店内を見回す。


初めて来たところだけど…雰囲気悪くないかも。
半個室みたいになってるし、お値段も思ってたよりはリーズナブルだし。



「まあ、いつも通りなんだけど。
今後の予定を決めようと思って。」


「うん。僕もそろそろかと思ってた。
最近、ライブハウスが予約取れなくてあんまり出来てないよね。」


「そうだね。
あの花火大会から、2回くらいしか出来てないから毎週じゃなくなってる。
お客さんの数は…増えたと思うけど。」


「動画の再生回数もいいよ。
SNSのフォロワーも増えてきてる。」


「いい調子だね。」



名前を知ってもらうことは出来てきてる。
あとは、ここで何かインパクトに残ることが出来たらいいんだけど…。
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