春風、漫ろに舞う
「おはよう。2人とも。」


「お、おはようございます。」



会場につくと、席は半分くらい埋まっていて。
千歳さんたちに挨拶しようと思ったけど、先に藤仁さんに声をかけられた。


やっぱり、緊張するんだよね。
藤雅のお父さんとは、千歳さんほど話したこともないし。
やっぱり、一番偉い人だし。



「お袋は?」


「今、ちょうど席を外してる。
…よく休めたかい?芽来さん。」


「ありがとうございます。
景色が素敵でした。」


「気に入ってもらえたなら、何よりだ。」


「芽来行くぞ。
あそこのテラス席にするか。」


「あ、すみません。失礼します。
…待って藤雅。
あっちにするの?眩しくない?」



藤雅が繋いでいた手を引っ張るから。
藤仁さんに慌てて会釈をして、藤雅についていく。



「わあ、いいね。素敵。」


「だろ?
お前が好きそうだから。」


「ありがとう。」



藤雅が提案したテラス席は。
ここの海がまるまる一望できて、奥の方には山まで見える。
海と空の綺麗なスカイブルーと山の深緑がはっきりしたコントラストで描かれていて。
写真かと思うほどきれいで壮大。


こんな特等席、わたしたちが座っていいのかな?
千歳さんたちが座るべきなんじゃ…と不安になる。
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