春風、漫ろに舞う
散りゆくは枯れゆくは 蒼樹side
その日は、久しぶりに若の家…芽来さんと夕飯が食べられる日だった。
最近、一段と組の抗争が激しくなって若頭側近である俺や十葵は若と共に前線に立つことがメインになっていたから、芽来さんの護衛は組員に任せざるを得なかった。
だから、俺はこの日を楽しみに待っていた。
やっと、抗争が終わったから芽来さんに若が帰ってくると伝えられるから。
きっと芽来さんは、嬉しそうに笑うからそんな彼女と温かい夕飯を食べようと思っていたのに。
…それなのに。
「……なに?」
俺のスマホに一本の連絡が入ってきた。
芽来さんが、風呂場で自ら命を絶とうとした。
あまりにも長すぎる風呂に、違和感を覚えた護衛の組員が見つけて今病院に運ばれたところ、との事。
「……若。」
今の今まで、指揮を執り自ら前線に立っていた若。
床に散らばる敵対組織の組員には目もくれずに、帰ろうとしていた。
その背中に呼びかける。
「なんだ。」
「……。」
まだ熱が冷めきらないのか。
鋭く光る眼光と放たれる威圧感に、慣れているはずなのに萎縮する俺がいる。
この抗争が終わるまで、絶対に芽来さんを巻き込みたくなかった若は一切の連絡と接触を絶ち、暇さえあればストーカーの如く離れたところから見守っていた。
最近、一段と組の抗争が激しくなって若頭側近である俺や十葵は若と共に前線に立つことがメインになっていたから、芽来さんの護衛は組員に任せざるを得なかった。
だから、俺はこの日を楽しみに待っていた。
やっと、抗争が終わったから芽来さんに若が帰ってくると伝えられるから。
きっと芽来さんは、嬉しそうに笑うからそんな彼女と温かい夕飯を食べようと思っていたのに。
…それなのに。
「……なに?」
俺のスマホに一本の連絡が入ってきた。
芽来さんが、風呂場で自ら命を絶とうとした。
あまりにも長すぎる風呂に、違和感を覚えた護衛の組員が見つけて今病院に運ばれたところ、との事。
「……若。」
今の今まで、指揮を執り自ら前線に立っていた若。
床に散らばる敵対組織の組員には目もくれずに、帰ろうとしていた。
その背中に呼びかける。
「なんだ。」
「……。」
まだ熱が冷めきらないのか。
鋭く光る眼光と放たれる威圧感に、慣れているはずなのに萎縮する俺がいる。
この抗争が終わるまで、絶対に芽来さんを巻き込みたくなかった若は一切の連絡と接触を絶ち、暇さえあればストーカーの如く離れたところから見守っていた。