春風、漫ろに舞う
「やっぱり蒼樹の飯はうめえな。」


「お褒めに預かり光栄です。」


「十葵も食べなよ。
冷めたらチーズ伸びなくなるよ。」



藤雅に食べさせつつ、十葵にも声をかける。


きっと子育て中のお母さんってこんな感じなのかな。
上の子に声をかけつつも、下の子のご飯を食べさせる…みたいな。


まあ、本来ならばこっちは2人ともしっかり成人済み男性だからこんなことしなくて良いはずなんだけど。



「後はもう自分で食べられるでしょ。」


「ん、ありがと。」


「…どういたしまして。」



半分ほど食べさせたところでそう切り上げれば。


藤雅は嬉しそうに笑ってスプーンを受け取ってくれた。
その顔、可愛くて好きなんだよね。
子どもみたいで、赤ちゃんみたい。



「あ、そうだ。
明日の夜ちょっと出かけるよ。」


「何時、誰と、何処に。」


「その尋問みたいなのやめてよ…。」



ため息混じりに、藤雅の質問に1つずつ答えていく。


明日は、ゲストで呼ばれているイベントに行かなきゃ行けない。
前に仕事で一緒になったバンド。
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