春風、漫ろに舞う
もちろん、そんな度胸もないわたしは。
学校が終わって、すぐに会場に来た。
時間はぴったり。
お願いしますの挨拶もしたいし。

今日のお迎えは、藤雅でも蒼樹でも無かったから余計に緊張して終始無言だった。



「巡さん!」


「あ、こんにちは。」



ライブ会場に着いて、キョロキョロしていれば。
幸いなことに、向こうから声をかけてきてくれた。
世間話を交えつつ、用意された楽屋に向かっていく。



「いや〜、あの巡さんがお引き受けして下さるとは思いませんでした。」


「いやいや、そんな…。」


「そんな謙遜しないで下さい!
俺たちの憧れなんです、煌月は!
うちのメンバーたちも、巡さんに会えるって大興奮で…俺も昨日は寝れなかったです。」


「あはは…わたしもですよ。」


「あ、ここです。
中にうちのやつらも居るんで。」


「お邪魔します。」



中に入ると、わたしより年上の男の人達が数人いた。

会うのは全員初めて。
さっきから話してるこのリーダーらしき人も、メールでのやり取りは何度もしていたけど会うのは初だった。
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