春風、漫ろに舞う
「初めまして、煌月の巡です。
今日はよろしくお願いします。」


「うわー!本物だ!!
初めまして!」


「お会いしたかったです!ずっと!」


「お前ら落ち着けって…。
巡さん、すみません。
この間の上がっていた動画見ました、歌声もさながら…歌詞もめちゃくちゃ良かったです。」


「あ、ど、どうも…。」



わーっと、いきなり囲まれて色んな人が色々と話し始めるから。
全然聞き取れないけど、多分わたしのこと褒めてくれてると思うから笑っていよう。


向こうのバンドメンバーの自己紹介も終えて落ち着いたところで、ちょうどリハーサルに呼ばれたのでぞろぞろとみんなで向かう。



「すみません、煩くて。
メンバーの中には、巡さんと1つ2つしか年齢変わらないやつも居るんで。
本当に憧れてるんです。」


「憧れなんて…そんな。
煌月だって、まだまだですし…柊や彪が有名だから名前が知られるようになっただけですよ。」


「柊さん、どこ行っても引っ張りだこですもんね。
大手からお声がかかってるって噂…本当なんですか?」


「まあ…。
本人もあまり話したがらないので、わたしも詳しくは分からないですけどね。」


「…そうですか…。
俺、ベースなんで…柊さんみたいになりたいんですよね。
俺の方が年上だけど、年齢なんて関係なく柊さんのベースには惹かれるものがあります。」



自分のことじゃないけど、身内が褒められると嬉しい。
そうでしょ?柊凄いでしょ?って。
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