春風、漫ろに舞う
「…って事があって。
お母さんどう思う?
わたしまだ、進路とか何も考えてないんだけど…。」


「そうねえ~。
目標があるとそこに進んでいけるから良いけど、まだ無理に決めなくても良いんじゃない?」


「だよね…。」



久しぶりに実家でお母さんの夜ご飯を食べながら、今日の昼間の出来事を話す。


約束通り、少なくとも月に1回は帰ってきていたけど今月はもう3回目。
この間の出来事は…まだ話せてない。



「めぐは何したいの?」


「音楽系か医療系。
音楽で食べていくのは難しいけど、裏方とかでも良いから関われたらって思う。
医療系は、手に職つけたいから。
お母さんも看護師でしょ?資格あれば、どこでも働けるかなって。」


「芽来なら医療系でも良さそうな気はするけどね、お母さんは。
あんた、器用な所もあるから。」


「そうかなあ。」


晴春(きよはる)みたいに、早くに芽が出るタイプと遅咲きのタイプがあるからね。」


「…そう…。」


「そうそう、もう少しで帰ってくるみたいよ。
日本での仕事があるらしくてね。」


「……え…。」



帰ってくる?あいつが?
嘘でしょ?なんで?
有り得ない、有り得ない。おかしい。
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