春風、漫ろに舞う
隣でにこにこしながら解説してくれる兄が。
その一瞬で、冷たい表情に変わったのは…今でも覚えてる。
子供心に、背筋がドキッとしたから。
まるで汚物を見るように蔑まられた目は、子どもに向けていいものじゃない。
「はじめは、それが誰に向けられたものか分からなかった。
だから…わたしがなにかしてしまったんだと思った。
すぐ兄に謝ったの、ごめんなさいって。
そしたらね、兄は言ったの。」
『めぐるは何も悪くないよ。
悪いのは…あの子だね。』
その意味も当時のわたしは分からなかった。
あの子が誰を指してるのかも。
それから数日後。
不幸な事故が起きた。
「…わたしが好きだった子が事故にあった。
トラックに轢かれて、命は助かったけど…下半身がぐちゃぐちゃになってたんだって。」
「…っ」
珍しく、藤雅が動揺してる。
ポーカーフェイスだけど、心臓の音が少しだけ早くなった。
わたしだって初めて聞いたときは、可哀想だと思った。
もうサッカーどころか、歩くこともできないって。
たまたまお母さんの勤めてる病院に運ばれてきてたから、1回だけ兄とお見舞いに行った。
その一瞬で、冷たい表情に変わったのは…今でも覚えてる。
子供心に、背筋がドキッとしたから。
まるで汚物を見るように蔑まられた目は、子どもに向けていいものじゃない。
「はじめは、それが誰に向けられたものか分からなかった。
だから…わたしがなにかしてしまったんだと思った。
すぐ兄に謝ったの、ごめんなさいって。
そしたらね、兄は言ったの。」
『めぐるは何も悪くないよ。
悪いのは…あの子だね。』
その意味も当時のわたしは分からなかった。
あの子が誰を指してるのかも。
それから数日後。
不幸な事故が起きた。
「…わたしが好きだった子が事故にあった。
トラックに轢かれて、命は助かったけど…下半身がぐちゃぐちゃになってたんだって。」
「…っ」
珍しく、藤雅が動揺してる。
ポーカーフェイスだけど、心臓の音が少しだけ早くなった。
わたしだって初めて聞いたときは、可哀想だと思った。
もうサッカーどころか、歩くこともできないって。
たまたまお母さんの勤めてる病院に運ばれてきてたから、1回だけ兄とお見舞いに行った。