春風、漫ろに舞う
「…芽来の兄貴が帰ってくる日。
俺も芽来と一緒に行く。」


「…!藤雅…?」


「俺から挨拶するだけだ。
可愛い妹は、俺のものだってな。」


「……いいの?」


「当たり前だ。」



藤雅は、わたしが話してる間何も口を挟まなかった。
それが少し不安で。
面倒なこと言っちゃったかなって。

だけど、きっと。
藤雅は色々考えてくれていたんだと思う。



「1人になんてするわけがない。
大丈夫だ、一緒に行こう。」


「…ありがとう。嬉しい、藤雅がいるなら心強いよ。」



兄に怯えるわたしはこれでおしまい。
いつまでも、兄の影に囚われる必要は無い。
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