春風、漫ろに舞う
「あの、お名前…お聞きしてもいいですか?」
「藤雅。一条 藤雅だ。」
黙って帰るのは悔しいから。
帰り際に名前だけ聞くと。
その男の人は、答えた。
イチジョウトウガ…。
名前まで素敵なの、ずるいね。
「ごめんね、芽来ちゃん。びっくりさせちゃって。
怖かったでしょ?」
「あ、まあ…そうですね。」
帰りの車の中、十葵さんが運転してくれて。
そんな話をしてくれた。
この人が1番話しやすい。
ちょっとチャラい感じが嫌だけど、女の子ウケは良いだろうと思う。
「どうしても、俺の上司がお礼したいって言っててさ。そういうの大事にする人だから…許してね。」
「あ、いえ…。
……もう、そこの角で大丈夫なので、降ろしてください。」
「あ、え?ここ??」
「はい、大丈夫です。…わざわざありがとうございます、失礼します。」
曲がり角で止まった途端。
矢継ぎ早にそう言うと、わたしは家まで走った。
「藤雅。一条 藤雅だ。」
黙って帰るのは悔しいから。
帰り際に名前だけ聞くと。
その男の人は、答えた。
イチジョウトウガ…。
名前まで素敵なの、ずるいね。
「ごめんね、芽来ちゃん。びっくりさせちゃって。
怖かったでしょ?」
「あ、まあ…そうですね。」
帰りの車の中、十葵さんが運転してくれて。
そんな話をしてくれた。
この人が1番話しやすい。
ちょっとチャラい感じが嫌だけど、女の子ウケは良いだろうと思う。
「どうしても、俺の上司がお礼したいって言っててさ。そういうの大事にする人だから…許してね。」
「あ、いえ…。
……もう、そこの角で大丈夫なので、降ろしてください。」
「あ、え?ここ??」
「はい、大丈夫です。…わざわざありがとうございます、失礼します。」
曲がり角で止まった途端。
矢継ぎ早にそう言うと、わたしは家まで走った。