春風、漫ろに舞う
一条さんと連絡先を交換して。
この後お仕事らしいので、そろそろお開きみたいだ。


…もう少し、一緒にいたかったな。
そんなことを思う自分が馬鹿みたい。
だけど…本心だ。
だって、この人の隣は居心地がいいから。



「一条さん、すみません。
ご馳走になってしまって…。」


「いいんだ、誘ったのは俺だからな。
気にしないでくれ。」


「正直…手持ちが無かったので助かりました。
また今度お返しします。」



結局、お支払いはわたしがトイレに行っている間に済まされていて。

スマートなところも、全部がかっこいい。
どうしてわたしにそこまでしてくれるんだろう…?
わたしなにもしてないのに。




< 55 / 341 >

この作品をシェア

pagetop