春風、漫ろに舞う
「瑛の自信作らしいからな。今回。」


「そうなの?」


「一昨日くらい瑛からメッセージ来てさ。
やっとここまで来たねって。
こんなに色んな人に頼んでさ、MV撮ってもらえるなんて滅多に無いから最後まで粘るって言ってた。
寝る間も惜しんで作ってくれたみたいだからな。」


「…そうなんだ。
ありがたいね、本当に。」


「柊の家でみんなで演奏して投稿してたあたし達がさ、ここまで来れたのも凄いよね。」


「…ほんとにそうだよね。」



なんか、しみじみとそう思う。

最初はここまで色々出来るなんて思ってもいなかったし、趣味の一環でしか無かったのに。
今じゃ、音楽が好きで支えになってる。



「柊。」



準備も終わったようで、楽器の確認をしてる柊に後ろからそっと声をかける。

今日撮るMVの曲は、わたしと柊のツインボーカルだから少し話しておきたかった。




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