春風、漫ろに舞う
「そうそう!
なんだ、芽来も見たことあるんじゃん!」


「綺麗な制服だなあって思ったから、印象強かったんだよね。」


「あそこ、めちゃくちゃ金持ちの子どもが通ってるらしくてさ。頭もめちゃくちゃ良いらしいよ。」


「へえ…。」



そんな話を聞きながら、窓の方を見ると。
隣町にある噂の学校が薄らと見えた。
真っ白の校舎が視界に入って、周囲にもビルが見えたりここよりも栄えているのが分かる。


用事があれば隣町に行くこともあるけど、基本わたしはここから出ないからなあ。
向こうの方が都会だし、栄えてはいるけど。



「芽来くらい頭良ければ行けるんじゃね?」


「やだなあ、わたしには無理だよ。ここよりも校則厳しそうだし、貧乏人とか言って虐められちゃうよ。」



なんて冗談仄めかして言えば、2人は楽しそうに笑った。
派手な見た目をしてる2人はクラスでも目立ちがちだから、一緒にいて損は無い。


正直、わたしの通う東高は頭が良くない。
家から近いし、校則が緩いからって理由で選んだ。





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