春風、漫ろに舞う
結局、根負けしたのはわたしで。
今ちょうど蒼樹さんの運転する車で向かっているところだ。
蒼樹さんとは、この間会ったばかりだけど礼儀正しい人だと思う。
わたしにも敬語で話してくれるし。
藤雅より2つくらい年下らしいけど、何故か大人の落ち着きがある人でちょっと強面だけど男!って感じがしてかっこいい。


それはそうとして、さっきからお腹が痛いし、だんだん頭まで痛くなってきた…。



「…藤雅はリラックスしすぎ。」


「あ?」


「もう。」



わたしの膝の上に頭を乗せて寝てる藤雅の頬を軽く抓る。


なんだかイライラしてきた。
わたしばっかり緊張してるじゃないか。



「ねえ、本当に手土産いらなかったの?
大丈夫なの?」


「そんなもん要らねえ。
…あー…芽来いい匂い。」


「そんなことどうでもいいんだけど…。」



なにか菓子折りでもと思っていたけど、藤雅は要らないの一点張りだし。
大丈夫かなあ…。
失礼な子って思われなきゃいいんだけど。



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