未来と僕

恋愛成就

「行ってきます。」

俺は誰もいない家に静かに呟いた。

今日は、高校二年の始業式の日。

また新たな憂鬱な一年が始まろうとしているのである。

「早く帰りてぇなあ...」

そう、小さく呟いた。

高校までの道のりは家からかなり遠い。

少し前にスマホの地図アプリで距離を調べると約2kmも離れていた。

「俺はほぼ一年2kmを往復しているのか...」と、またもや憂鬱な気分になった。

そして今も2km先の学校をめざしていると思うと憂鬱になってくる。

この話題はやめよう。なにか、楽しいことを考えるんだ。

学校の一年と言えば
「体育祭」「文化祭」があるな。どれもこれもリア充イベントじゃないか...。

また憂鬱な気分になった。

いや、俺にもまだまだじかんはあるんだ恋人の1人や2人出来るはずなんだ。

高校生といえば、青春!青春!青春!のオール青春パレードじゃないか!だと言うのに俺は、影でコソコソ生きるコソクムシみたいだ。上手いこと言ったな今俺。

そんなことはどうでもいい俺はコソクムシじゃない。俺はハンサムでクールで完璧すぎる人間だ。そうだ。そうに違いない。

と、 可哀想な自己肯定を考えながら正門に着いた。

新しいクラスで馴染めるといいな。
惨めな願いだ。

先生から用紙を受け取り書かれているクラスに移動する。

周りは友達といるのに俺は1人。
いや、俺は戯れないんだ。
あいつらとは違うんだ。

「2年2組......」

2年2組と書かれた教室に入って、黒板に書かれている出席番号順の席に座った。

クラスの人らは新学期早々わちゃわちゃ話している。俺は1人読書をする。

惨めだと思うなよ。これは、新学期初日だから仕方ないことだ。もう少しすれば俺にも話せる友達くらい...

考えると余計に惨めに思える。もう本を読もう。

少しすると担任らしき人が入ってきて朝のHRが始まった。軽く自己紹介をして、このクラスで一年頑張っていこう。らしい。

俺の友達作りでも手伝ってくれるんすか先生?

今の俺の顔は多分目があいてるかあいてないかぐらい、ジト目になっていると思う。逆恨みだなこりゃ。やめようやめよう。教師とはいい関係を結ばなければ。

始業式がはじまり、校長挨拶、生徒会、の話で終わりだ。これで今日一日は終わり、明日からは通常授業に戻る。

はぁ、憂鬱だ。帰ろ。
「え」
思わず声が出た。
カバンを持って教室を出ると、廊下にすごくかわいらしい美少女が立っていた。この色の名札は...

「ねえ、君」

「.....はい」

「少し、時間ある?」

俺にも転機が訪れたようだ。
ありがとう神様。ありがとう仏様。ありがとうザビエル。いや、ザビエルは違うか。

「ありますけど」

「ちょっと一緒にカフェ行かない?」

俺は、これから幸せになります.....
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