モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
ベアトリスの胸の中に感謝の気持ちが生まれた。この討伐訓練が始まってから彼の印象がどんどん変化していく。
「あの……王太子殿下、フェンリルが呼べない中、私などを守ってくださってありがとうございました」
ユリアンを見つめ素直に気持ちを伝えると、彼ははっとしたようにベアトリスを見つめる。
「王太子殿下、どうされました?」
「いや……気にしなくていい。私が君を守るのは当然だ」
ユリアンは名ばかりの婚約者に対しても責任感が強いようだ。
「それでもありがとうございます」
笑顔を向ければ、ユリアンの表情に動揺が浮かんだ。
(今日のユリアン王太子は表情豊かだわ)
この特別な環境がそうさせるのだろうか。ユリアンはしばらく無言だったが、やがてなにかを決心したような顔で口を開く。
「……ベアトリス」
「え?」
「これからはベアトリスと呼ぼう」
「は、はい」
もちろんかまわないが、なぜ彼が急にそんなことを言い出したのかがわからなかった。
戸惑っていると、ピピが痺(しび)れを切らしたように鳴きだす。
「ピピ! ピピ!」
「あ、ピピ、どうしたの?」
普段はこんなに我が強くないのに。
「もしかしたら向こうになにかあるのかもしれない」
ユリアンが真剣な目で、ピピが目指そうとしている森の奥を見遣る。
「精霊は私たち人よりもはるかに感覚が鋭い」
「ピピは私たちが気づかないなにかを見つけている?」
「あの……王太子殿下、フェンリルが呼べない中、私などを守ってくださってありがとうございました」
ユリアンを見つめ素直に気持ちを伝えると、彼ははっとしたようにベアトリスを見つめる。
「王太子殿下、どうされました?」
「いや……気にしなくていい。私が君を守るのは当然だ」
ユリアンは名ばかりの婚約者に対しても責任感が強いようだ。
「それでもありがとうございます」
笑顔を向ければ、ユリアンの表情に動揺が浮かんだ。
(今日のユリアン王太子は表情豊かだわ)
この特別な環境がそうさせるのだろうか。ユリアンはしばらく無言だったが、やがてなにかを決心したような顔で口を開く。
「……ベアトリス」
「え?」
「これからはベアトリスと呼ぼう」
「は、はい」
もちろんかまわないが、なぜ彼が急にそんなことを言い出したのかがわからなかった。
戸惑っていると、ピピが痺(しび)れを切らしたように鳴きだす。
「ピピ! ピピ!」
「あ、ピピ、どうしたの?」
普段はこんなに我が強くないのに。
「もしかしたら向こうになにかあるのかもしれない」
ユリアンが真剣な目で、ピピが目指そうとしている森の奥を見遣る。
「精霊は私たち人よりもはるかに感覚が鋭い」
「ピピは私たちが気づかないなにかを見つけている?」