モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
「行こう」
ユリアンは意を決したように立ち上がる。
「ベアトリスは俺のすぐそばに」
「は、はい」
ごく自然に出たベアトリスという呼び方に、どきりと鼓動が跳ねた。
彼との距離が一気に近くなったような錯覚に陥ったからだ。しかし動揺したのはそれだけではなかった。
ユリアンがベアトリスの手を掴み、ギュッと握ったのだ。
「お、王太子殿下……」
「ユリアンでいい」
ユリアンはベアトリスを見下ろし短く言う。
「……はい。ユリアン様」
命の危険すらある森の中という状況なのに、ベアトリスの心臓は別の意味で忙しなく鼓動を打っている。
つないだ手から恐怖とは違う緊張を感じていると伝わってしまいそうで、ベアトリスは落ち着くことが出来なかった。
それでもピピの後を追い、森の奥に進んでいく。
(この景色に見覚えがあるわ)
ベアトリスは戸惑いながら周囲に視線を巡らせる。なぜか来たことがあるような気がするのだ。しかしいつどのような状況だったのかは、どう考えても思い出せない。
しばらく周囲を観察しているうちに、ますます確信を深めた。
(やっぱりここに来たことがある)
ベアトリスは少し迷ってから、ユリアンにその事実を伝えた。
「見覚えがあるって本当か?」
「はい、なぜかはわからないのですが」
「ならば、出口がわかるのか?」
ユリアンは意を決したように立ち上がる。
「ベアトリスは俺のすぐそばに」
「は、はい」
ごく自然に出たベアトリスという呼び方に、どきりと鼓動が跳ねた。
彼との距離が一気に近くなったような錯覚に陥ったからだ。しかし動揺したのはそれだけではなかった。
ユリアンがベアトリスの手を掴み、ギュッと握ったのだ。
「お、王太子殿下……」
「ユリアンでいい」
ユリアンはベアトリスを見下ろし短く言う。
「……はい。ユリアン様」
命の危険すらある森の中という状況なのに、ベアトリスの心臓は別の意味で忙しなく鼓動を打っている。
つないだ手から恐怖とは違う緊張を感じていると伝わってしまいそうで、ベアトリスは落ち着くことが出来なかった。
それでもピピの後を追い、森の奥に進んでいく。
(この景色に見覚えがあるわ)
ベアトリスは戸惑いながら周囲に視線を巡らせる。なぜか来たことがあるような気がするのだ。しかしいつどのような状況だったのかは、どう考えても思い出せない。
しばらく周囲を観察しているうちに、ますます確信を深めた。
(やっぱりここに来たことがある)
ベアトリスは少し迷ってから、ユリアンにその事実を伝えた。
「見覚えがあるって本当か?」
「はい、なぜかはわからないのですが」
「ならば、出口がわかるのか?」