モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
ユリアンは地面に視線を落とし考えているが、そう時間をかけずに決断した様子だった。
「転移してみよう」
「えっ、いいんですか?」
「精霊を呼べないこの場は我々にとって最悪の環境だ。森から抜け出せる保証もない。この魔法陣にかけてみよう」
「わかりました」
現状がすでに最悪だから、やっと見えた突破口にかけようということか。
ユリアンはベアトリスの肩を抱き寄せる。
「……あの?」
「なにが起きるかわからないから用心した方がいい。私のそばにいろ」
「は、はい」
緊急事態だからの言葉だとわかっているのに、思わずドキリとしてしまった。
ベアトリスは頬が赤くなっているのを自覚しながら、逞しいユリアンの体に身を寄せる。
「行くぞ」
「はい」
ユリアンと一緒に魔法陣に入る。瞬く間に目の前が銀色に輝き、体がフワリと浮くような感覚に襲われる。しかもここに飛ばされたときよりも激しい感覚で、体がどこかに飛ばされそうな恐怖と気持ち悪さでどうかしそうになる。
(もうだめ)
そのとき、バラバラになりそうだと感じていた体をつなぎ合わせるようにぎゅっと抱きしめられる。
ユリアンの力強い腕に守られて、ベアトリスは安心して目を閉じた。
「ベアトリス!」
突然大きな声で名前を呼ばれて、ベアトリスはびくりと体を震わせた。
きつくつむっていた目を開くと、目の前には濃紺一色だった。
「転移してみよう」
「えっ、いいんですか?」
「精霊を呼べないこの場は我々にとって最悪の環境だ。森から抜け出せる保証もない。この魔法陣にかけてみよう」
「わかりました」
現状がすでに最悪だから、やっと見えた突破口にかけようということか。
ユリアンはベアトリスの肩を抱き寄せる。
「……あの?」
「なにが起きるかわからないから用心した方がいい。私のそばにいろ」
「は、はい」
緊急事態だからの言葉だとわかっているのに、思わずドキリとしてしまった。
ベアトリスは頬が赤くなっているのを自覚しながら、逞しいユリアンの体に身を寄せる。
「行くぞ」
「はい」
ユリアンと一緒に魔法陣に入る。瞬く間に目の前が銀色に輝き、体がフワリと浮くような感覚に襲われる。しかもここに飛ばされたときよりも激しい感覚で、体がどこかに飛ばされそうな恐怖と気持ち悪さでどうかしそうになる。
(もうだめ)
そのとき、バラバラになりそうだと感じていた体をつなぎ合わせるようにぎゅっと抱きしめられる。
ユリアンの力強い腕に守られて、ベアトリスは安心して目を閉じた。
「ベアトリス!」
突然大きな声で名前を呼ばれて、ベアトリスはびくりと体を震わせた。
きつくつむっていた目を開くと、目の前には濃紺一色だった。