モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
一瞬何事かと思ったがすぐにユリアンの制服の色だと気がついた。彼と抱き合い、広い胸に頬を寄せていたのだ。
「も、申し訳ありません!」
慌てて彼の背中に回した腕をほどき離れようとする。しかし彼はベアトリスを離さず、心配そうな目で見下ろしてきた。
「大丈夫か? 目眩(めまい)などは?」
「あ、はい。ユリアン様が支えてくださったので大丈夫です」
「そうか。よかった」
ユリアンはほっとしたように微笑む。その優しい笑みに鼓動が跳ねる。
(どうしてこんなに優しい顔を?)
目が離せなくてじっと見つめていると、ユリアンの表情にわずかな戸惑いが浮かぶ。
「ベアトリス、近いうちに……」
「ユリアン!」
ひと際大きな声が聞こえ、ユリアンに見惚れていたベアトリスははっとして声の方に目を向けた。ツェザールが血相を変えて目の前にやって来たところだった。彼のうしろにはゲオルグとカロリーネの姿も見える。
「無事か?」
ツェザールは必死の形相で、ユリアンを頭のてっぺんから足もとまで見ようとしたが、ベアトリスの存在にいら立ったのか目をつり上げた。
「いい加減に離れたらどうだ?」
眼光鋭く睨まれて、ベアトリスは慌てて離れようとする。しかしユリアンの手があってびくともしない。
「も、申し訳ありません!」
慌てて彼の背中に回した腕をほどき離れようとする。しかし彼はベアトリスを離さず、心配そうな目で見下ろしてきた。
「大丈夫か? 目眩(めまい)などは?」
「あ、はい。ユリアン様が支えてくださったので大丈夫です」
「そうか。よかった」
ユリアンはほっとしたように微笑む。その優しい笑みに鼓動が跳ねる。
(どうしてこんなに優しい顔を?)
目が離せなくてじっと見つめていると、ユリアンの表情にわずかな戸惑いが浮かぶ。
「ベアトリス、近いうちに……」
「ユリアン!」
ひと際大きな声が聞こえ、ユリアンに見惚れていたベアトリスははっとして声の方に目を向けた。ツェザールが血相を変えて目の前にやって来たところだった。彼のうしろにはゲオルグとカロリーネの姿も見える。
「無事か?」
ツェザールは必死の形相で、ユリアンを頭のてっぺんから足もとまで見ようとしたが、ベアトリスの存在にいら立ったのか目をつり上げた。
「いい加減に離れたらどうだ?」
眼光鋭く睨まれて、ベアトリスは慌てて離れようとする。しかしユリアンの手があってびくともしない。