モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
ベアトリスは花壇の近くのベンチに腰掛け、その様子を眺めていた。
慈愛に満ちた横顔が美しいと思った。途端にユリアンの胸が熱くなる。
彼女への疑惑などすべて忘れ去りただ見惚れていたら、視線に気づいたのかベアトリスが振り向いた。
ユリアンを視界に入れると、ルビー色の瞳を大きく開く。
「ユリアン様!」
彼女は慌てた様子で腰を上げて駆け寄ってくる。王宮だったら眉をひそめられるような貴族令嬢らしからぬその行動がなぜかとてもかわいく見えて、ユリアンは戸惑った。
(重症だな。ベアトリスがなにをしてもかわいく見える)
「ユリアン様、来てくださったのですね」
ベアトリスがユリアンの前で立ち止まり微笑んだ。
思わず頬に触れたくなる衝動を抑えて、ユリアンはうなずく。
「子どもたちは元気そうだな」
「はい、今は遊びの時間ですが、勉強も進んでいるんですよ。みんなどんどん文字を覚えていて、幼い子向けの童話はひとりで読めるようになったんです」
心底うれしそうに話す彼女の顔は優しく、慈しみにあふれた聖母のようだ。
「そうか。君のおかげだな」
「いえ、私なんか」
「そんな言い方はだめだ。子どもたちが幸せそうにしているのはベアトリスの尽力だ」
いつになく力を込めて告げると、ベアトリスの頬が赤く色づいた。
「ユリアン様、ありがとうございます。私……」
ベアトリスがなにか言いかけたそのとき。
慈愛に満ちた横顔が美しいと思った。途端にユリアンの胸が熱くなる。
彼女への疑惑などすべて忘れ去りただ見惚れていたら、視線に気づいたのかベアトリスが振り向いた。
ユリアンを視界に入れると、ルビー色の瞳を大きく開く。
「ユリアン様!」
彼女は慌てた様子で腰を上げて駆け寄ってくる。王宮だったら眉をひそめられるような貴族令嬢らしからぬその行動がなぜかとてもかわいく見えて、ユリアンは戸惑った。
(重症だな。ベアトリスがなにをしてもかわいく見える)
「ユリアン様、来てくださったのですね」
ベアトリスがユリアンの前で立ち止まり微笑んだ。
思わず頬に触れたくなる衝動を抑えて、ユリアンはうなずく。
「子どもたちは元気そうだな」
「はい、今は遊びの時間ですが、勉強も進んでいるんですよ。みんなどんどん文字を覚えていて、幼い子向けの童話はひとりで読めるようになったんです」
心底うれしそうに話す彼女の顔は優しく、慈しみにあふれた聖母のようだ。
「そうか。君のおかげだな」
「いえ、私なんか」
「そんな言い方はだめだ。子どもたちが幸せそうにしているのはベアトリスの尽力だ」
いつになく力を込めて告げると、ベアトリスの頬が赤く色づいた。
「ユリアン様、ありがとうございます。私……」
ベアトリスがなにか言いかけたそのとき。