モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
「ベアトリスは、自身が変化したということに気づいているのか」
「そのような態度です。父も母も気づいていますが、我々は妹から相談されない限りは見守ろうと決めています。どんなに変わってもかわいい妹ですから。しかもいい方向の変化なのだから歓迎です」
「そうだな……」

 ベアトリスにどんな心境の変化があったのかわからないが、本人が望むのならそっとしておいた方がいいのかもしれない。信頼関係を築いたら、いずれ自ら話してくれるかもしれないのだから。

「しかし、妹の召喚した精霊については調べています」
「あの小鳥は不思議だな」

 ランベルトも同意だというようにうなずく。

「召喚式の際、司教から力がない精霊と断言されたようです。しかしあの精霊は召喚式以降ずっと異界に戻らず妹のそばにいる。そんな精霊は過去存在していない。今のところ問題はないようですが、正体をはっきりさせておきたいのです。聖女捜索と同様に難航していますが」
「私の方でも調べておく」
「ありがとうございます」

 その後、聖女捜索について少し話したあと、ランベルトは執務室を辞した。

 ユリアンは執務机に座り目を閉じた。するとベアトリスの笑顔が浮かんでくる。

 最近の彼女は常にやわらかな雰囲気で、優しい表情を浮かべている。

 温かみを感じる声、困ったような顔。笑った顔。思い出すのはそんなベアトリスだ。

(もっともっと見ていたいな)
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