モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
孤児院についても、院長に知らせても現実的にたいした対策は取れないだろうから、不安にさせるだけで子どもたちによくない影響を与えるだろう。守りたいならほかの手段を考えなくては。
「ユリアン様のおっしゃる通りだとわかりました」
素直にそう告げると、ユリアンはほっとした表情を見せた。
「理解してくれてうれしいよ。情報を与えられないが、皆に危害が及ばないように騎士団が警戒している。もちろんベアトリスが大切にしている孤児院子もその範囲だから、心配しすぎないでくれ」
「あ、ありがとうございます」
ユリアンにはなにも言っていないのに、子どもたちの安全面が心配だったことに気づいていたようだ。
気遣いがうれしくて、ベアトリスは笑顔になる。するとユリアンの目もとが少し赤くなった。
「ユリアン様、どうなさいました?」
「い、いや、問題ない」
「そうですか」
ユリアンの様子がおかしいと思ったが、本人が問題ないと言うのならいいだろう。
そう思って彼から視線をはずしたとき、ベアトリスの右手が大きな手で包まれた。
驚いて再びユリアンを見る。彼は依然として少し赤い顔をしている。
「あのユリアン様?」
この手はどういうわけなのだろう。
「授業が始まる、急ごう」
「あ、そうですね」
ユリアンに早口で言われたので、ベアトリスは疑問を口にするタイミングを失った。
彼に手を引かれ、ふたりで教室に向かったのだった。
「ユリアン様のおっしゃる通りだとわかりました」
素直にそう告げると、ユリアンはほっとした表情を見せた。
「理解してくれてうれしいよ。情報を与えられないが、皆に危害が及ばないように騎士団が警戒している。もちろんベアトリスが大切にしている孤児院子もその範囲だから、心配しすぎないでくれ」
「あ、ありがとうございます」
ユリアンにはなにも言っていないのに、子どもたちの安全面が心配だったことに気づいていたようだ。
気遣いがうれしくて、ベアトリスは笑顔になる。するとユリアンの目もとが少し赤くなった。
「ユリアン様、どうなさいました?」
「い、いや、問題ない」
「そうですか」
ユリアンの様子がおかしいと思ったが、本人が問題ないと言うのならいいだろう。
そう思って彼から視線をはずしたとき、ベアトリスの右手が大きな手で包まれた。
驚いて再びユリアンを見る。彼は依然として少し赤い顔をしている。
「あのユリアン様?」
この手はどういうわけなのだろう。
「授業が始まる、急ごう」
「あ、そうですね」
ユリアンに早口で言われたので、ベアトリスは疑問を口にするタイミングを失った。
彼に手を引かれ、ふたりで教室に向かったのだった。