モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
ふたりで馬車に乗るときは、必ず向かい合わせだった。それなのに今は隣同士。
王家の馬車はゆったりした造りだから狭くはないのに、ユリアンとの間に隙間はなくてぴったり寄り添っている状態。
(この状況って……まるで愛し合う恋人同士のようだわ)
「どうした?」
応える声は信じられないくらい優しい。
「あ、あの……今日のユリアン様はいつもと様子が違う気がして」
いろいろ心配事が多くて、彼も動揺しているのだろうか。
「もしかして俺が君にかまうのが不思議なのか?」
「え、ええ……そうです」
正直にうなずくとユリアンは切なそうに目を細めた。
「君は俺にとって大切な人だ。この手で守りたいと思うのは当然だろう?」
「た、大切って……でも私は」
王太子の婚約者にふさわしくない悪女ベアトリスと言われているのに。最近ではそのような目を向けられる機会が減ってはいるものの、彼の側近であるツェザールからはいまだに嫌われている。
それくらい過去の行いがひどいのだ。少し仲がよくなった程度では許されないほどの罪がある。
それにユリアンは聖女を妃に迎える予定だ。
(聖女様なら未来の王妃様に誰よりふさわしいものね)
ずきりと胸が痛んだが、ベアトリスはそれに気づかないふりをする。
しかしユリアンはベアトリスの問いかけから目を背けなかった。
「俺は君を愛しいと思っている」
王家の馬車はゆったりした造りだから狭くはないのに、ユリアンとの間に隙間はなくてぴったり寄り添っている状態。
(この状況って……まるで愛し合う恋人同士のようだわ)
「どうした?」
応える声は信じられないくらい優しい。
「あ、あの……今日のユリアン様はいつもと様子が違う気がして」
いろいろ心配事が多くて、彼も動揺しているのだろうか。
「もしかして俺が君にかまうのが不思議なのか?」
「え、ええ……そうです」
正直にうなずくとユリアンは切なそうに目を細めた。
「君は俺にとって大切な人だ。この手で守りたいと思うのは当然だろう?」
「た、大切って……でも私は」
王太子の婚約者にふさわしくない悪女ベアトリスと言われているのに。最近ではそのような目を向けられる機会が減ってはいるものの、彼の側近であるツェザールからはいまだに嫌われている。
それくらい過去の行いがひどいのだ。少し仲がよくなった程度では許されないほどの罪がある。
それにユリアンは聖女を妃に迎える予定だ。
(聖女様なら未来の王妃様に誰よりふさわしいものね)
ずきりと胸が痛んだが、ベアトリスはそれに気づかないふりをする。
しかしユリアンはベアトリスの問いかけから目を背けなかった。
「俺は君を愛しいと思っている」