モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
「子どもたちに優しく接する姿や、真摯に学業に取り組む姿勢を尊敬している。友人と過ごすときの楽しそうな顔を見ていたら、いつの間にか愛しいと思うようになった。俺にもその笑顔を向けてほしい、もっとそばにいたいと。今さら虫のよい話だとはわかっている。それでも今の俺の正直な気持ちだ」
決して気持ちを強要するわけではない。ただ想いを伝えただけだとユリアンは言った。
ベアトリスは激しく動揺していた。
(ユリアン様が私を好き? ……信じられない)
婚約解消になると覚悟をしていたのに、あまりに想定外の状況だ。
「あの、でも聖女様は?」
側近であるツェザールが言ったことなのだ。ただの噂程度の話なわけがない。
「聖女を王太子妃にという話はあるが、俺の気持ちは今言った通りだ。妃に迎えたいのはベアトリスただひとり」
「わ、私は……」
動揺の激しいベアトリスに、ユリアンは小さく笑う。
「返事はしなくていい。今は俺の気持ちを知ってくれるだけでいいんだ」
「……はい」
「だが俺がベアトリスを守ろうとするのを否定しないでほしい」
ベアトリスはこくりとうなずく。
そのとき馬車が止まった。公爵邸に着いたようだ。
ユリアンが先に降りて、車内のベアトリスに手を差し出す。
彼のやわらかな眼差しに胸がときめく。まるで夢の中にいるようにフワフワした気持ちになりながら、ベアトリスは大きな手を取った。
決して気持ちを強要するわけではない。ただ想いを伝えただけだとユリアンは言った。
ベアトリスは激しく動揺していた。
(ユリアン様が私を好き? ……信じられない)
婚約解消になると覚悟をしていたのに、あまりに想定外の状況だ。
「あの、でも聖女様は?」
側近であるツェザールが言ったことなのだ。ただの噂程度の話なわけがない。
「聖女を王太子妃にという話はあるが、俺の気持ちは今言った通りだ。妃に迎えたいのはベアトリスただひとり」
「わ、私は……」
動揺の激しいベアトリスに、ユリアンは小さく笑う。
「返事はしなくていい。今は俺の気持ちを知ってくれるだけでいいんだ」
「……はい」
「だが俺がベアトリスを守ろうとするのを否定しないでほしい」
ベアトリスはこくりとうなずく。
そのとき馬車が止まった。公爵邸に着いたようだ。
ユリアンが先に降りて、車内のベアトリスに手を差し出す。
彼のやわらかな眼差しに胸がときめく。まるで夢の中にいるようにフワフワした気持ちになりながら、ベアトリスは大きな手を取った。