モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
(なにに怒っているんですか?なんて聞いたら余計に怒らせてしまうだろうし)
ツェザールはベアトリスに比べて格段に体が大きく、そんな彼が不機嫌オーラを出していると怖さを感じる。
ぎゅっとドレスの上に置いた手を握りしめていたとき、それまで黙っていたツェザールが口を開いた。
「ユリアンがクロイツァー公爵令嬢は変わったと言っている。では今、昨年の冬季休暇の出来事をどう思ってる?」
「冬季休暇……」
ベアトリスはつぶやくのと同時に、かつてのユリアンの言葉を思い出した。
『あと少しで長期休暇になる。昨年のような騒ぎは起こさないように』
あのとき、なにがあったのか思い出そうとした。けれどどうしてもわからず、侍女のサフィなら知っているかもしれないと考えそれとなく聞いてみた。しかし『お嬢様は体調を崩され臥せっていました』と言われ、結局なにがあったのかはわからずじまいだったのだ。
しかしツェザールの様子ではとても重要ななにかがあったのだとわかる。
そして正直に覚えていないと言ったら、彼が怒るであろうということも。
(だからといって嘘をつくのはもっとよくないよね。勇気を出して覚えていないと答え、謝ろう)
「申し訳ありません。その件は覚えていないんです。なにがあったか教えて頂けたら……」
ツェザールはベアトリスに比べて格段に体が大きく、そんな彼が不機嫌オーラを出していると怖さを感じる。
ぎゅっとドレスの上に置いた手を握りしめていたとき、それまで黙っていたツェザールが口を開いた。
「ユリアンがクロイツァー公爵令嬢は変わったと言っている。では今、昨年の冬季休暇の出来事をどう思ってる?」
「冬季休暇……」
ベアトリスはつぶやくのと同時に、かつてのユリアンの言葉を思い出した。
『あと少しで長期休暇になる。昨年のような騒ぎは起こさないように』
あのとき、なにがあったのか思い出そうとした。けれどどうしてもわからず、侍女のサフィなら知っているかもしれないと考えそれとなく聞いてみた。しかし『お嬢様は体調を崩され臥せっていました』と言われ、結局なにがあったのかはわからずじまいだったのだ。
しかしツェザールの様子ではとても重要ななにかがあったのだとわかる。
そして正直に覚えていないと言ったら、彼が怒るであろうということも。
(だからといって嘘をつくのはもっとよくないよね。勇気を出して覚えていないと答え、謝ろう)
「申し訳ありません。その件は覚えていないんです。なにがあったか教えて頂けたら……」