モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
ベアトリスに問題があったのなら謝りたい。そう言うよりも先にツェザールがぎしりと歯を食いしばり、それまで以上に憎悪の目でベアトリスを見すえた。
「ミリアムの……俺の妹を苦しめておいて、覚えてないだと?」
「妹?」
ふと脳裏をなにかがかすめた。
続いて、白い雪が積もる美しい庭園にかわいらしい貴族の令嬢がいる光景が浮かび上がる。
あと少しではっきり思い出せそうだと思ったとき、ツェザールの低く響く声が耳に届く。
「よかったよ。これで罪悪感を持たずに済む」
それは背筋がぞくりとするような残酷な声音だった。
「……ツェザール様?」
ここにいてはだめだと本能が告げる。ベアトリスは身構えて車窓の向こうに視線を移す。レオと護衛に助けを求めようと思ったのだ。
けれど、つい先ほどまでベアトリスを守るように馬車の近くにいたはずの彼らの姿が見あたらない。
さあっと血の気が引くのを感じたそのとき、ツェザールの大きな手がベアトリスの肩を掴んだ。
声にならない悲鳴をあげたのと同時に、意識が暗闇に包まれた――。
「ミリアムの……俺の妹を苦しめておいて、覚えてないだと?」
「妹?」
ふと脳裏をなにかがかすめた。
続いて、白い雪が積もる美しい庭園にかわいらしい貴族の令嬢がいる光景が浮かび上がる。
あと少しではっきり思い出せそうだと思ったとき、ツェザールの低く響く声が耳に届く。
「よかったよ。これで罪悪感を持たずに済む」
それは背筋がぞくりとするような残酷な声音だった。
「……ツェザール様?」
ここにいてはだめだと本能が告げる。ベアトリスは身構えて車窓の向こうに視線を移す。レオと護衛に助けを求めようと思ったのだ。
けれど、つい先ほどまでベアトリスを守るように馬車の近くにいたはずの彼らの姿が見あたらない。
さあっと血の気が引くのを感じたそのとき、ツェザールの大きな手がベアトリスの肩を掴んだ。
声にならない悲鳴をあげたのと同時に、意識が暗闇に包まれた――。