モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
以前のベアトリスは、婚約者だからと当然のように押しかけて無理やり同席していた。ユリアンにも側近にも相当嫌がられていたのに、おかまいなしに。
ベアトリスが押しかけなくなったから、ユリアンたちほっとしているはずなのに。
(まさかここに来るなんて予想していなかったよ……)
「ご、ごきげんよう王太子殿下」
醜態をさらしたあとでごきげんようなどと言うのはどうかと思ったけれど、ほかに適当な言葉が浮かばない。
「あの、なにか御用でしょうか?」
いきなり本題を切り出してしまった。愛想のなさが気に障ったのか、ユリアンがわずかに眉をひそめた。
「……ここでなにをしているんだ?」
「え? 昼食をいただいているのですが」
見てわからないのかとベアトリスは首をかしげる。
「それはわかっている。なぜここで食べているんだ」
「ええと、落ち着いて過ごせるからですが」
「……それはなんだ?」
ユリアンは怪訝そうな目つきで、ベンチの上の弁当箱を凝視していた。
「卵とチーズのサンドイッチと温野菜のベリーソースかけです」
「……公爵家のシェフはずいぶんと質素な弁当を作るのだな」
「いえ、これは私が作ったんです。シェフならもっとちゃんとしたものを作りますよ」
公爵家の優秀なシェフの名誉に関わると思いしっかり訂正をした。するとユリアンは信じられないとばかりに大きく目を見開く。
ベアトリスが押しかけなくなったから、ユリアンたちほっとしているはずなのに。
(まさかここに来るなんて予想していなかったよ……)
「ご、ごきげんよう王太子殿下」
醜態をさらしたあとでごきげんようなどと言うのはどうかと思ったけれど、ほかに適当な言葉が浮かばない。
「あの、なにか御用でしょうか?」
いきなり本題を切り出してしまった。愛想のなさが気に障ったのか、ユリアンがわずかに眉をひそめた。
「……ここでなにをしているんだ?」
「え? 昼食をいただいているのですが」
見てわからないのかとベアトリスは首をかしげる。
「それはわかっている。なぜここで食べているんだ」
「ええと、落ち着いて過ごせるからですが」
「……それはなんだ?」
ユリアンは怪訝そうな目つきで、ベンチの上の弁当箱を凝視していた。
「卵とチーズのサンドイッチと温野菜のベリーソースかけです」
「……公爵家のシェフはずいぶんと質素な弁当を作るのだな」
「いえ、これは私が作ったんです。シェフならもっとちゃんとしたものを作りますよ」
公爵家の優秀なシェフの名誉に関わると思いしっかり訂正をした。するとユリアンは信じられないとばかりに大きく目を見開く。