モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
一年前。冬季の長期休暇に入りユリアンはゲオルグとツェザールとともに、王都のはずれにある離宮を訪れた。
氷の宮と呼ばれるそこは、とくに冬景色が見事で歴代の王妃が時折ティーパーティーを開くなど、社交の場としても利用されている。
『ユリアン殿下、このような素晴らしい離宮に滞在させてくださりありがとうございます』
雪景色の庭を歩きながら微笑むのは、ミリアム・キルステン。ツェザールの三歳年下の妹で、兄と同じ赤髪の溌剌とした印象の令嬢だ。
以前から氷の宮について強い関心を持っていたようで、ツェザールが一日だけという約束で連れてきた。
『ゆっくりしていくといい。ただ、今の時季は庭園に危険があるから、ひとりで行かないように』
『はい。お兄様に案内してもらいます』
ミリアムは明るい笑顔でそう言うと、ツェザールの腕を引っ張り庭園に向かった。
ツェザールは『引っ張るな』とブツブツ言いながらもまんざらでもない様子。彼が妹を大切にしているのは有名で、異母兄弟とあまり仲がよくないユリアンとしては少しうらやましく感じる関係だ。
夕方まで戻ってこないだろうと、ゲオルグとふたりで離宮の執務室に向かう。
学院が休みでも王太子としての仕事は休みにならない。ある程度、書類の処理を済ませる必要がある。
氷の宮と呼ばれるそこは、とくに冬景色が見事で歴代の王妃が時折ティーパーティーを開くなど、社交の場としても利用されている。
『ユリアン殿下、このような素晴らしい離宮に滞在させてくださりありがとうございます』
雪景色の庭を歩きながら微笑むのは、ミリアム・キルステン。ツェザールの三歳年下の妹で、兄と同じ赤髪の溌剌とした印象の令嬢だ。
以前から氷の宮について強い関心を持っていたようで、ツェザールが一日だけという約束で連れてきた。
『ゆっくりしていくといい。ただ、今の時季は庭園に危険があるから、ひとりで行かないように』
『はい。お兄様に案内してもらいます』
ミリアムは明るい笑顔でそう言うと、ツェザールの腕を引っ張り庭園に向かった。
ツェザールは『引っ張るな』とブツブツ言いながらもまんざらでもない様子。彼が妹を大切にしているのは有名で、異母兄弟とあまり仲がよくないユリアンとしては少しうらやましく感じる関係だ。
夕方まで戻ってこないだろうと、ゲオルグとふたりで離宮の執務室に向かう。
学院が休みでも王太子としての仕事は休みにならない。ある程度、書類の処理を済ませる必要がある。