モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
『わかってる。争っても俺に勝ち目はないし、あの女が反省することもない』

 重苦しい空気が漂う中、ゲオルグがユリアンを見つめる。

『こちらが退いても、クロイツァー公爵家が黙っていないかもしれない。彼女のけががどの程度かわからないが、ただでは済まない』
『俺が交渉してクロイツァー公爵家にも退くように仕向ける』

 ユリアンは必ず大切な友人たちを守ると決心しながら、ベアトリスへの怒りを抑えた。

 その後、ベアトリスの兄であるクロイツァー公爵家嫡男ランベルトに仲裁を頼み、なんとか話をまとめられた。

 ランベルトは妹を大切にしているためツェザールに対し怒りを見せたが、そうなった原因がベアトリスにあるのは理解していた。クロイツァー公爵家としてミリアムに正式に謝罪をし、今回に限りという条件つきでツェザールを許しユリアンの顔を立ててくれた。


 表向きでは何事もなく終わった事件。しかしあの出来事をツェザールは忘れず、今もベアトリスを憎んでいる。

 もちろんユリアンも忘れていない。絶対にベアトリスを王妃にしてはいけないと心に戒めた日なのだから。

 ベアトリスはその後も自分の罪を自覚せず、好き勝手に振る舞っていた。
 ほかの生徒に迷惑がかかりそうなときはユリアンが割り込んで止めたが、彼女は何度注意されても気に留めない。ミリアムへの仕打ちは都合よく忘れているようだった。
< 52 / 226 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop