モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
「ベアトリス様、お客様がいらっしゃっています」
いつも通りに孤児院の庭で子どもたちと過ごしていたベアトリスを、シスターが呼びに来た。
ここにいるのを知っているのは家族くらいだ。なにか急用があり迎えに来たのだろうかと気軽にシスターについていくと、入口で待っていたのはまさかのユリアンで、ベアトリスは足に根が生えたようにその場に立ち尽くした。
「クロイツァー公爵令嬢。突然訪ねて申し訳ない」
落ち着いた声が耳に届いたのがきっかけで、固まっていたベアトリスの体と心が動きだす。
「と、とんでもございません。あの、王太子殿下、ご無沙汰しております」
ベアトリスは動揺しながら腰を折って挨拶をする。しかしユリアンは小声で「顔を上げて」と言った。
言われた通り顔を上げると、まともに目が合いドキリとした。
「ここには身分を隠して来ている」
「あ、はい、承知いたしました」
ベアトリスも彼と同じく小さな声で返事をする。
(王太子だってほかの人にバレたくないのね)
それにしてもなぜわざわざここに来たのだろう。疑問だったが正面切って聞きづらいなと、ベアトリスはちらりとユリアンの様子をうかがう。
いつも通りに孤児院の庭で子どもたちと過ごしていたベアトリスを、シスターが呼びに来た。
ここにいるのを知っているのは家族くらいだ。なにか急用があり迎えに来たのだろうかと気軽にシスターについていくと、入口で待っていたのはまさかのユリアンで、ベアトリスは足に根が生えたようにその場に立ち尽くした。
「クロイツァー公爵令嬢。突然訪ねて申し訳ない」
落ち着いた声が耳に届いたのがきっかけで、固まっていたベアトリスの体と心が動きだす。
「と、とんでもございません。あの、王太子殿下、ご無沙汰しております」
ベアトリスは動揺しながら腰を折って挨拶をする。しかしユリアンは小声で「顔を上げて」と言った。
言われた通り顔を上げると、まともに目が合いドキリとした。
「ここには身分を隠して来ている」
「あ、はい、承知いたしました」
ベアトリスも彼と同じく小さな声で返事をする。
(王太子だってほかの人にバレたくないのね)
それにしてもなぜわざわざここに来たのだろう。疑問だったが正面切って聞きづらいなと、ベアトリスはちらりとユリアンの様子をうかがう。