モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
「わかりました。そのような事情でしたら、お父様とお兄様が聖女様の捜索をすると思います。ただ行方不明になったのが二十年前では見つけられるか心配ですね」
聖女は今年二十六歳だという。ということは、いなくなったのは六歳かそこら。そんな子どもがひとりで暮らしていたとは考えられないので、誰か大人の庇護下にいたはず。
外見だけでもかなりの変化をしているはずだから、見つけ出すのに苦労するだろう。
(親切な人に保護されているといいんだけど)
考え込んでいるとユリアンが無言であることに気づき伏せていた目を上げた。彼はベアトリスをじっと見つめていた。
「あ、あの、王太子殿下?」
なにかを探るような眼差しに、居たたまれなくなる。以前、学院の裏庭で会ったときも彼はベアトリスをこんな目で見ていた。
(よほど私が気に入らないんだわ……早く婚約解消してくれたら、もう私などに会わなくて済むだろうに)
少しでも存在感を消そうと身を縮めていると、ユリアンが口を開いた。
「なぜ、孤児院の支援をしているんだ?」
「え?」
突然の話題変更にベアトリスは戸惑い目を瞬く。聖女の話はもういいのだろうか。
「孤児の救済には関心がなかったはずだが」
(まさか、そのことまで怪しまれてるの?)
ベアトリスは驚愕して目を丸くした。警戒されているのは知っていた。しかし慈善事業までに疑いを持たれるとは。
聖女は今年二十六歳だという。ということは、いなくなったのは六歳かそこら。そんな子どもがひとりで暮らしていたとは考えられないので、誰か大人の庇護下にいたはず。
外見だけでもかなりの変化をしているはずだから、見つけ出すのに苦労するだろう。
(親切な人に保護されているといいんだけど)
考え込んでいるとユリアンが無言であることに気づき伏せていた目を上げた。彼はベアトリスをじっと見つめていた。
「あ、あの、王太子殿下?」
なにかを探るような眼差しに、居たたまれなくなる。以前、学院の裏庭で会ったときも彼はベアトリスをこんな目で見ていた。
(よほど私が気に入らないんだわ……早く婚約解消してくれたら、もう私などに会わなくて済むだろうに)
少しでも存在感を消そうと身を縮めていると、ユリアンが口を開いた。
「なぜ、孤児院の支援をしているんだ?」
「え?」
突然の話題変更にベアトリスは戸惑い目を瞬く。聖女の話はもういいのだろうか。
「孤児の救済には関心がなかったはずだが」
(まさか、そのことまで怪しまれてるの?)
ベアトリスは驚愕して目を丸くした。警戒されているのは知っていた。しかし慈善事業までに疑いを持たれるとは。