モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
初めての友人
冬の休暇が終わり、学院が再開した。
これからは卒業まで魔導士としての力を高めるために、実践を積んでいく。
召喚した精霊によって魔力の増減があったので、クラス替えが行われていた。
クラスは三クラスあり、実力別だ。ベアトリスは一番上のAクラスに在籍していたが、召喚の失敗により一番下のCクラスになるだろうと思っていた。ところが。
「え……嘘でしょ?」
登校してみると、ベアトリスはまたAクラスとなっており衝撃を受けた。
(私自身の魔力は弱まっているし、ピピの精霊としての力添えもまったくと言っていいほどないのに、どうして今でもAクラスなの?)
一応王太子の婚約者の公爵令嬢だからだろうか。
(実力主義と謳っている学院にも忖度というものがあるということ? でも余計な気遣いだわ。Cクラスでよかったのに)
ベアトリスは重い足取りでAクラスの教室に向かう。緊張を覚え深呼吸をしてからドアを開いた。
教室にはすでに十人以上の生徒がいて、いっせいにベアトリスに注目した。皆が顔色を変えて、口を閉ざす。それまでの楽しそうな空気が気まずいものに変化した。
(私と同じクラスなんて嫌だって思われてるのかな)
ものすごい気まずさを覚えながら、事前に確認してある自席に向かう。
窓際から二列目の一番うしろという目立ちづらそうな席なのが救いだった。
(でもあと半年以上もこの状況だなんて、つらいなあ……)