魔法のいらないシンデレラ
第十三章 京都へ
「うわー、着いたよ、瑠璃ちゃん。京都!」
「着いたねー、京都!」

降り立った新幹線のプラットホームで、二人は意味もなく、やったー!と両手を挙げた。

思わず観光地巡りをしたくなるが、今は浮かれている場合ではない。

「さ!早速行こうか」

瑠璃の言葉に、うん!と奈々も返事をして、二人はガラス工房に向かった。

入り組んだ古い街並みを、地図を片手にキョロキョロしながら進む。

と、耳にかすかにチリンという涼し気な音が聞こえてきた。

二人は顔を見合わせる。

「風鈴の音!」

思わず音のする方に駆け出す。

「あ、あれじゃない?」

『ガラス工房 清河(きよかわ)』という木の看板が立て掛けてあり、軒先に数々の風鈴が揺れていた。

その下の木の机には、ガラスのタンブラーや器が所狭しと並べられている。

「うわー、きれい!」
「ほんと。繊細だねー」

色取りどりの美しい模様や、緩やかな曲線を描く形など、同じものは2つとない。

「1つ1つ手作りなのね」
「うん。芸術作品だね」

手に取ることもはばかられ、顔を近づけてじーっと見ていると、ふいに、
やってみんかね、と声がした。
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