魔法のいらないシンデレラ
その後、明日出店する屋台の場所を説明する。

ひと通り確認を済ませ、お疲れでしたらお部屋に戻りましょうか?とたずねると、いや、もう少しホテルの中を見て回りたいとのことで、瑠璃達はホテルのショッピングアーケードに案内する。

ここでは、よく知られているブランドものというより、知る人ぞ知る、といった一品を取り扱っている。

清河は、感心したように陶器や織物をじっくりと眺め、ええ品揃えとるなあと呟いた。

夕食は和食がいいとのことで、日本庭園が見える例の懐石料理のお店に案内する。

清河は、料理が運ばれてくるたび興味深そうに、ひとつひとつじっくり時間をかけて味わっていた。

「東京にも、こんなにええところがあるんやなあ。わし、勝手に東京に変なイメージ持っとったわ」

食後に庭園を歩きながら、清河は楽しそうに笑った。
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