魔法のいらないシンデレラ
(わー、なつかしいな。この部屋)

瑠璃は、ぐるっと部屋を見渡す。

(あの時は、酔っ払って運んでもらったのよね)

今思い出しても恥ずかしい。

当時の自分は、現状を嘆いたり悩んでばかりで、弱い人間だったと思う。

(あの頃よりは、強くなれてるかな)

少なくとも、あの頃よりは幸せで、今の自分の方が好きだと思う。

「よし!もう少し仕事頑張ろう!」

テーブルにパソコンを置いて、作業を再開する。

20分ほど経った時だろうか。

コンコンとドアがノックされた。
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