魔法のいらないシンデレラ
「まあ!あなたが噂の、ホテル界の若きイケメンプリンスね。初めましてえ、高坂 麗華ですう」

(…宇宙人、未知との遭遇…)

顔に営業スマイルを貼り付けたまま、一生は妙なことを考えつつ無言で立ち尽くす。

ゴホン、と早瀬の咳払いがうしろから聞こえてきた。

「それでは高坂様。早速お部屋にご案内致します」

なんとかいつもの流れを思い出し、一生は、どうぞと入口へうながした。

「うわー、すてきなお部屋!ねえ、おじい様」

宇宙人…ではなく、高坂 麗華が嬉しそうな声で、ロイヤルスイートの部屋を歩き回る。

「こちらのお部屋でいかがでしょうか?」
「ああ。良い部屋だね。ありがとう」

一生の言葉に頷いて、高坂は、ゆったりとソファに腰を下ろした。

「高坂様。ディナーはフレンチレストランでいかがでしょう?個室をご用意しております」

早瀬がうやうやしく頭を下げながら聞く。

「ああ、結構。一生くんも同席してくれるかね?」
「はい。かしこまりました」
「では、18時でお願いします。あ、そうそう。それまでに、ぜひ見ておきたいものがあるんだ」
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